各国の水際対策はことごとく失敗しているといってもいい。
世界最高水準の疾病予防機関であるCDC(アメリカ疾病予防管理センター)のお膝元であるアメリカですら蔓延に歯止めが掛けられていない実情をみると、失敗が人為的なものであるとは思えない。正確に言えば、私たち人間が、グローバルな経済基盤の枠組みの中で生きている以上、影響等を考慮すれば様々な制約が生じるのは無理からぬことであり、そこに防疫の限界点があるのではないかと思う。
日本でも、早期に店先からマスクやトイレットペーパーが姿を消した。
感染を防ぐためのマスクは花粉症が飛び始める時期と重なったことや、生産地の多くが中国であったことから、品薄になることは理解に易い。しかし、トイレットペーパーやティッシュペーパーの衛生紙は国内生産率は限りなく100%に近いとされる(日本製紙連合会「紙・板紙受給速報」)。など、紙製品の多くは国内生産。そして原材料の木材の輸入も北米、豪州などが主な輸入先であることから、品薄になるという情報は明らかに誤報だった。
紙の専門家でもない私でも、少し調べればこのような情報を集めることができる。
平成26年の近畿大学の卒業式。堀江貴文氏が卒業生に向けたスピーチの中で「情報を自分で収集して、自分で考えて行動すること」の重要性に触れている。
膨大な情報にアクセスできる恩恵は計り知れないが、その情報を冷静に分析することは難しい。情報が増えれば事実と異なる情報や、恣意的な情報も混入する。テクノロジーが進化するスピードと情報に触れたら兎にも角にも動いてしまう「誤ったスピード感」とはまったく違う。大切なのは触れた情報の真偽を見定め、冷静に判断するための材料にすること。
家をつくりたいと思う人たちにも同じ現象はある。
私たちが思いをお聞きしていると、ご本人は我が思いのようにお話くださるが、少なくはない確率で「情報の出どころ」がわかることがある。例えば、あるメジャー企業が自社で発表した新しいリノベーションプログラムのキャッチに使われている。というものだ。リノベーションのコストとしては安価だが、実態は上張りして新しくするだけのリフォームと変わらない。リノベーションとしては安価だが、リフォームコストとしては高価になっている。
もちろん、これは違法なことでもなんでもない。
そして、そのプログラムの選択そのものもが間違っているとは限らない。
問題なのは、リクエストを丁寧に煮詰めてゆくとそのプロジェクトが本人の思いとは違っていたというケースが多いということ。満たされる家つくりは新築でもリノベーションでも選択肢をしっかりと検討して最良の判断をしてゆくことが何よりの近道。
触れる情報は、あなたにとって本当に有益なものか。それとも何らかの意図が含まれるものなのか。それを判断してゆくことは難しい。だからといって、情報分析のスキルを磨くこともまた難しいもの。簡単なら、昨今のような誤報によって買い占めが社会問題になることもないのだから。
そして、そこまで神経を張り詰める家づくりは「楽しくない」
家づくりは、人生にそう何度もあるものではないから楽しんで欲しいと心から思う。
傲慢にいってもその答えが私たちにあるとは断言はできないが、眼から鱗の何枚かが落ちるくらいのお話はできるとは思っている。
ご縁があれば、ぜひお会いしましょう。
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